【北京五輪】1次リーグ
日本代表 3-5 韓国代表(8月16日)

 どんな位置付けの試合であっても、その時のチーム状態に差があっても、いざ直接対決となると熱い試合を見せる、というのが宿命のライバルである。この日の日本と韓国の対戦も、ライバル対決らしい緊迫した展開となったが、拮抗した試合の明暗を分けたのは、ベンチワークだった。

 膠着状態を打ち破るため、韓国ベンチは攻守共に積極的に仕掛け続けた。投手交代の直後に先制2ランを浴びるなど、全てが奏効したわけではないが、全体として見れば「早め早め」に動いたことが韓国に勝利を引き寄せた。それに比べ、日本ベンチの対応は後手に回った。

 星野仙一監督は、元々攻撃に関して細かい策を弄するタイプではない。送りバントを多用してオーソドックスに攻める傾向が強く、「必要とあらば中軸の長距離打者にも送りバントを命じる」という徹底ぶりこそが星野らしさである。また中日・阪神時代は作戦面では故・島野育夫氏の果たしていた役割が大きかったが、今回の代表チームにはいわゆる「参謀タイプ」のコーチがいない。さらにこの試合では西岡剛、川崎宗則という「揺さぶり」をかけられる選手達が故障を抱えベンチスタート。打線全体の調子、韓国投手陣の力を考えると、少ない得点を守り抜くマネジメントが重要だった。

 そうなるとカギとなるのが守備面、特に投手交代機の見極めだ。この試合の失点シーンは、いずれもその前に大野豊コーチがマウンドに行っている。日本ベンチは勘所を分かっていたが、それにも関わらず、2度とも失点を防ぐことが出来なかった。

 プレーしているのは選手だが、この試合で投手陣を攻めるのは酷である。7回途中まで強力な韓国代表打線を2点に抑えた和田毅は充分役割を果たした。惜しむらくは、この試合唯一の四球が点に直結してしまったことか。9回に打ち込まれた岩瀬仁紀は足掛け3イニング目に入っており、李鍾旭のバント失敗がヒットになってしまう不運もあった。ついでに言えばこの打球の処理にあたった村田修一は元々守備面に関しては多くを期待されているわけではなく、これもやむを得ない。

 かつて絶対的なリリーフ投手だった大野コーチがピンチでマウンドに行くと、ついつい「あなたが投げてくれればなぁ」などと思ってしまう。しかし、今の日本代表に人材がいないわけではない。むしろ質の高い投手陣は今大会における日本の最大の武器である。しかし、日本はその武器を活かし切れなかった。

 早い段階で藤川球児を投入しなかったのは、延長戦・タイブレークを見込んでのことだろう。そして、そこまで藤川を残しておきたいということは、オランダ戦で初登板した上原浩治が「本当の意味での信頼」を得ていないことを意味する。しかし、短期決戦である上に、翌日は休養日。しかも相手は強豪・韓国である。今から言っても結果論になってしまうが、とにかく最初の2点を守るために手を尽くすべきだった。それに追い付かれた後の9回も、早めの継投を仕掛ければ後攻であることを活かして日本有利の展開に持ち込めたと思える。

 試合後のインタビューで、星野監督は自らの継投ミスが敗因であるといち早く認めた。この日、最も監督の長所が表れたのが敗戦の弁の潔さだというのは残念だが、阪神監督時代には、ミーティングの席上で選手たちに継投ミスを謝罪して逆にチームの士気を高めたこともある。その手腕を五輪でも見せてくれることに期待したい。

2008.08.17 Sun l 野球 l COM(0) TB(0) l top ▲

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